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》新規蛍光色素を用いた血管障害の可視化システム

                     
2012/02/10

新規蛍光色素を用いた血管障害の可視化システム

西村有平1,4,6,7 矢田健一郎2、渡邉耕平8、野本毅 8、梅本紀子1、張孜1、伊藤早紀1、岡森加奈1、張貝貝1、黒柳淳哉1、島田康人1,4,6,7、宮崎健8、今村剛士8、溝口明3,5、冨本秀和2,5、田中利男1,4,6,7
三重大学大学院医学系研究科1薬理ゲノミクス、2神経病態内科学、3神経再生医学・細胞情報学、三重大学4メディカルゼブラフィッシュ研究センター、5脳解析センター、6新産業創成拠点オミックス医学、7生命科学研究支援センターバイオインフォマティクス、8キヤノン株式会社総合R&D本部

血管イメージングは、血管の構造や機能を評価する上で重要な手法であり、様々な疾患における血管病変の可視化や、血管新生を阻害する抗がん薬の開発などに応用されてきた。蛍光色素を用いた血管イメージングは、蛍光顕微鏡と組み合わせることにより簡便に血管の構造や機能を可視化できるため、臨床だけでなく、実験動物を用いた基礎研究にも汎用されている。従来の基礎研究では、デキストランと結合させた蛍光色素や、量子ドットを血管内に注射することにより血管イメージングを行ってきた。これらの手法の有用性は多くの研究により証明されているが、血管内注射が困難な実験条件(マウスの胎児や、ゼブラフィッシュなどの小型動物を用いた実験など)では、血管イメージングに多大な労力と時間を必要とする。そこで我々は、血管内注射を必要としない血管イメージング用蛍光色素の探索を行い、新規化学構造を有する蛍光色素を複数同定することに成功した。これらの蛍光色素は、ゼブラフィッシュでは飼育水に加えることで、マウスでは腹腔内注射により、それぞれの血管内へ移行し、血管イメージングを実施することが可能である。正常な血管ではこれらの蛍光色素の血管外への漏出は極めて少なく、コントラストの高い血管イメージングを行うことができる。また、これらの蛍光色素は、共焦点レーザー顕微鏡だけでなく、二光子レーザー顕微鏡を用いた血管イメージングにも応用できるため、より深部の血管のライブイメージングが可能である。これらの蛍光色素を、ゼブラフィッシュやマウスにおける様々な血管病態の可視化に応用し、その有用性を明らかにしたので報告する。

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