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Zebrafish-Based Oncocardionephrology

》次世代ゼブラフィッシュ創薬スクリーニングとプレシジョンメディシン

                     
2019/11/21

1. ゲノム創薬からフェノミクス創薬へのパラダイムシフト 

21世紀に本格的ゲノム創薬時代へ突入してから、現在なお治療が困難なアンメットメディカルニーズの高い疾患に対する画期的治療薬(First-in-Class)開発は、依然として困難を極めている。具体的には、2008年から2010年における世界の臨床試験第二相試験の成功率はわずか18%であり、国際的に最も深刻な問題として受け止められている。これら失敗原因の多くが、不十分な臨床的薬効であることから、従来のゲノム創薬におけるリバース薬理学がその役割を果たしきれていないことが、特に問題視されるようになった(1)。

新薬開発における危機的状況に対して米国NIHが、この困難性に対する革新的研究戦略として2011年10月に、定量的システムズ薬理学(Quantitative and Systems Pharmacology)白書を報告し、世界にインパクトを与えた(2)。すなわち、定量的システムズ薬理学とは、薬理学、ゲノム医学、情報科学が統合されたもので、多くの革新的挑戦を挙げており、中でも新しい挑戦的創薬ツールとして、ゼブラフィッシュやiPS細胞などが提案されている。ゼブラフィッシュ創薬は、脊椎動物のin vivoハイスループットスクリーニングを初めて創薬プロセスに提供しており、グローバルな創薬戦略にインパクトを与え、明白なパラダイムシフトが実現してきている(3)。一方、1999年−2008年において米国FDAに認可された新薬を解析すると、興味深いことに62%の画期的新薬(First-in-Class)は、フェノタイプスクリーニング により発見され確立していることが明らかとなった(4)。その結果、現状のターゲットベースなリバース薬理学の限界を克服するために定量的in vivoフェノタイプスクリーニングが注目されることとなり、生体レベルでのフェノタイプやメカニズムの定量的ハイスループットスクリーニングが可能なゼブラフィッシュへの期待が大きくなっている。

2.ゼブラフィッシュ創薬の急激な国際的発展(図1)

ゼブラフィッシュの医学研究活用は、PubMedによると1948年より現在までに37,883論文報告されているが、2019年は現在3307報ありさらに論文が増加すると思われる(マウス;1844年から1、719、623論文、ラット;1872年から1、731、657論文、ショウジョバエ;1906年から106,970論文、線虫;1949年から30,152論文、酵母;1800年から283、098論文)。これらの研究成果は、ゼブラフィッシュ創薬に重要な基盤情報を与えている。現在までの創薬は、ハイスループットが可能なiPS細胞やES細胞などのヒト細胞や、ロースループットながら深いin vivoメカニズム解析に活用してきた哺乳類モデルが2大モデル生物であった。そして、ゼブラフィッシュはin vivoハイスループットスクリーニングが実現する唯一のモデル脊椎動物であり、創薬モデル生物の第三極を形成し、全く新しいパラダイムを実現することになる(図2)。

ここで、ゼブラフィッシュの特徴について概略を解説する。脊椎動物であるゼブラフィッシュは、ヒト疾患ゲノムにおける相同性が約80%ある(5)。ゼブラフィッシュ胚は、受精後1日で心拍動が認められる等、臓器形成が著しく早く、また、交配時には1組1回で約200個の受精卵を得ることができる。そして、受精卵も含め、体長約3mmの稚魚は透明で、精密なフェノタイプ解析を可能にし、96穴プレートを用いれば、1mg以下の各化合物でin vivoにおける薬効と安全性の大規模スクリーニングが完了できる。また、動物愛護との調和性が高く、欧米では早くから活用されている。実際ヨーロッパでは2008年からはラットを抜いて、ゼブラフィッシュがマウスの次に頻用されているモデル生物となっている。さらに、世界中で多数のゼブラフィッシュ創薬ベンチャーが創業している。また、国際的メガファーマが、薬効・安全性研究でゼブラフィッシュを積極的に活用している。ここでは初期にゼブラフィッシュフェノタイプスクリーニングが新薬開発に著効した成功5例を紹介する。

1)ゼブラフィッシュスクリーニングによりプロスタグランジンE2安定誘導体が造血幹細胞を増加させる化合物として2007年に報告された(6)。これはゼブラフィッシュ創薬のフロントランナーであり、2014年の臨床試験第二相においては、白血病とリンパ腫における臍帯血移植前のex vivo調製薬として使用されている(7)。
2)ORC-13661は、米国ワシントン大学(シアトル)でゼブラフィッシュにおけるアミノグリコシド性難聴に対する予防薬として開発され、アミノグリコシドによる有毛細胞死を防止する化合物として臨床試験に突入している(8)。
3)ゼブラフィッシュ創薬によるオーファンドラッグの典型例としてのEPX-300は、Dravet症候群の希少疾病用医薬品として米国FDAから指定を受けた。
4)2009年に、ゼブラフィッシュ急性骨髄性白血病モデルによる既存薬スクリーニングから、シクロオキシゲナーゼ(COX)2阻害薬の有効性が発見された(9)。そして、急性骨髄白血病と骨髄異型性症候群のCOX阻害薬による臨床試験が開始されている(10)。
5)kcnh2遺伝子変異によるゼブラフィッシュLQTtype2症候群モデルによる1200の既存薬スクリーニングの結果、糖質コルチコイドflurandrenolideに強力な薬効が見出された(11)。
特筆すべきことに、これら5例はすべてヒト病態モデルゼブラフィッシュによるフェノタイプスクリーニングがスタート点になっている。すなわち従来のオミクス解析から決定した創薬ターゲットによるリバース薬理学が、現状ではあまりに確率が悪い状況にあり、画期的新薬の62%がフェノタイプ創薬で見出されていること、つまり現代オミクス医学において、ヒト臨床病態情報から臨床的に有効な創薬ターゲットにたどり着く分子還元主義の確率が高くないことを明確に示唆していることになる。この苦境を打破する創薬戦略として、ヒト臨床病態を可能な限り正確に面(フェノタイプ)として写し取るヒト病態モデルゼブラフィッシュによるフェノタイプスクリーニングが注目され、シード化合物の発見に利用されてきている(図1)。

以上の実績から、ゼブラフィッシュ創薬は、単なる安価なマウスや追加的薬理試験ではなく、フォワード薬理学とリバース薬理学を統合したものであり、最終的には強力なPK/PDモデルとして構築され、真に21世紀的システムズ薬理学戦略であることが明らかである。特にゼブラフィッシュ創薬の原理的な特徴は、ヒト臨床病態を正確に写し取ったヒト病態モデルゼブラフィッシュによるフェノタイプスクリーニングから開始することであり、薬理フェノミクスを創薬エンジンとする新世代フォワード薬理学として確立されつつある。またゼブラフィッシュ創薬は、単なる遺伝子やタンパク質ネットワークの相互作用の変化をシュミレーションするといったシステムズ生物学の薬理応用ではなく、全く新しい創薬パラダイム(図1)を、我々に提示してくれている。そして、ゼブラフィッシュ創薬は確実に第三極の開発戦略を提供しており、今後創薬全体への影響が明らかになると思われ、わが国でも先進的な製薬や食品おける取り組みがなされ、発展が期待されている。

3. 次世代ゼブラフィッシュ創薬への技術イノベーション(図2)

ゼブラフィッシュ創薬は、創薬戦略にパラダイムシフトを確実に起こしているが、まだ国際的に10年余の歴史しかなく技術的にも経験的にも未熟な部分を多く残しているため、本来持っているポテンシャルを引き出せていない可能性がある。そこでまず、ゼブラフィッシュ創薬のプロセス強化が必須であると考える。特に1)広範なヒト病態モデルの拡充と高度化、2)ゼブラフィッシュ病態フェノミクス解析の先端技術、3)in vivoハイスループットスクリーニングの自動化、定量化、高速化、高度化は、ゼブラフィッシュ創薬の成否を決める最重要技術革新であり、それら課題についての現状と対策について述べる(図2)。ただし、これらの実現には、IoTのゼブラフィッシュ版であるInternet of Zebrafish(IoZ)技術革新によるビッグデータ創生とAI創薬への発展が不可欠となるのは想像に難くない。

1) ヒト病態モデル創生には、ヒト化などの高度化と種類の多様性が必要条件となっている。まず他の種でも可能となったゲノム編集技術(ZFN,TALEN,CRISPRなど)により、ゼブラフィッシュでも広範なヒト疾患遺伝子のノックアウトやノックインが容易になされ、多様な単一遺伝子疾患モデルが開発されている。一方、ゼブラフィッシュ薬物動態遺伝子のノックアウトおよびヒト薬物動態遺伝子のノックインなどにより全身の薬物動態をできるだけヒト化することが可能になりつつある。さらにヒトiPS細胞などの移植によるヒト化キメラゼブラフィッシュの創生により組織レベルでのヒト化ゼブラフィッシュが実現しつつある(図1)。また、高度免疫不全マウスでも実現しているように、造血幹細胞や末梢血由来単核球(PBMC)などの移植による免疫系ヒト化ゼブラフィッシュが創生されると、がん免疫療法の評価システムとしても有用性が強化されることになる。

2) ゼブラフィッシュ病態フェノミクス解析技術は、ゼブラフィッシュ創薬のコアテクノロジーの一つで、ゼブラフィッシュ創薬において定量的フェノタイプ解析がスタート点であることからすべてを決定する重要な基盤技術となる(図1)。脊椎動物であるゼブラフィッシュは、多くの場合ヒト臨床フェノタイプとの類似性やそのオミクス機構における相同性も期待されている。すなわち、ヒト病態ゼブラフィッシュモデルの定量的フェノタイプスクリーニングの新しいポテンシャルとしてスループットとフェノタイプ外挿性を同時に実現していることから、ヒト臨床オミクスに外挿した定量的薬効解析が可能となる。しかしながら、現時点ではオミクス基盤における外挿性が保証された疾患フェノタイプモデル(すなわちヒト疾患ゼブラフィッシュモデルフェノミクス)が不十分であり、その先端化と拡充が、緊急課題となっている(12−17)。

3) 脊椎動物でライブin vivoスクリーニングがハイスループットで実現することが、ゼブラフィッシュ創薬最大の特徴であることは明らかである(図1、図2)。国際的に2000年から、96ウエルプレートによるゼブラフィッシュスクリーニングが開始されたが、現在我々は1536ウエルプレートなどのゼブラフィッシュスクリーニングシステムを目的別に開発している(図2、図3、図4)。具体的には、ゼブラフィッシュ創薬の成否を決める受精卵品質管理プロトコルを、世界で初めて1536ウエルプレート受精卵タイムラプス共焦点イメージングにより確立している。このシステムは、サリドマイドなどの発生毒性メカニズム解析(18−26)に、新しい洞察を可能にしている。ゼブラフィッシュ疾患ゲノム全体はヒトと約80%の相同性があるとされているが、このゲノムシークエンスにおける僅かな差異はむしろヒト臨床がん細胞移植部位の宿主ゼブラフィッシュ微小環境とヒト移植がん細胞の次世代DNAシークエンサー(RNAseq)などによる相互作用解析に有利な点ともいえる(27−29)。TALENやCRISPRによるゲノム編集がゼブラフィッシュにも高効率に応用できることなどから、創薬ターゲットバリデーションや新薬作用機構の解明におけるスループットを圧倒的に高くしている。これまでにも我々は、Dravet症候群や筋ジストロフィーなどの単一遺伝子疾患モデルに加えメタボリックシンドロームや心不全などの生活習慣病モデルを多数創生し、メカニズムや化合物のスクリーニングを展開している(30-43)。さらに、種々の色素欠損ラインと細胞選択的蛍光蛋白トランスジェニックゼブラフィッシュとの交配などにより、各ヒト病態モデルのライブin vivoイメージング用ゼブラフィッシュを現時点で64種類(MieKomachiシリーズ)開発し、定量的フェノタイプスクリーニングに活用してきている(27、28、35、37、43、44)。一方で、トランスジェニック蛍光ゼブラフィッシュでカバーできない生体内細胞ライブin vivoイメージング用プローブを多数創製し、各病態イメージングに活用している(44-50)。これらの基盤技術をさらに強化して、オミクス研究の急速な発展に対応できる独自に開発したZFplate(図3、図4)を核にフェノミクス解析システムを構築するため、ライブin vivoイメージングシステムの、高速化、定量化、高度化等によるフル自動化とInternet of Zebrafish(ゼブラフィッシュ版のIoT)やAI創薬の実現を目指している。その結果、行動やin vivoイメージングなどのフェノタイプ解析における膨大な変数項目測定を可能にし、オミクスとの精密な相関解析を実現し、新しいメカニズム解明を成し遂げている。さらに、ヒトがん幹細胞移植モデルを確立して(29)、新規蛍光ヒトがん幹細胞阻害薬を発見し、ヒトがん幹細胞におけるステムネス機構を解析している(51)。

4.がんプレシジョンメディシンの急速な国際的展開

プレシジョンメディシン(Precision Medicine、精密医療)とは、各患者個人レベルで最適な治療を選択実施することである。このプレシジョンメディシンを実現するために、国際的に多くの挑戦がなされてきた。2015年1月20日米国前大統領オバマによるPrecision Medicine Initiativeに関する一般教書演説により、グローバルにも先端がん個別化医療としてのプレシジョンメディシンが急速に発展している。現在のプレシジョンメディシンの主な基盤は患者のオミクス情報であり、薬物治療応答性を各患者のオミクス情報により予測しようとするものである。しかし、患者オミクス情報と既知の医学医療情報の相関解析による個別化医療は統計学的予測に依存するため、その精度向上には、多数の患者の大量のオミクス情報が不可欠であり、膨大なコストと時間が不可欠となる。一方、先端がんプレシジョンメディシンにおいては、患者がん移植モデル(Patient-Derived Xenograft Model; PDX)を活用することが国際的に急激な発展を示している(52、図5)。

米国国立がん研究所(NCI)は、大半の薬物スクリーニングにおいてヒトがん細胞株パネル「NCI-60」の使用を2016年から中止することを決定した(53)。NCI-60は、NCIが開発した培養ヒトがん細胞株60種からなる抗がん剤スクリーニング用パネルで、1990年以降の製薬業界およびアカデミアは、NCI-60を使って10万種類以上の化合物をスクリーニングしてきた。その結果、この2D細胞培養による薬効スクリーニングの有効性が認められず、臨床ヒトがん病態への外挿性に疑問が残された。NCIは、世界中の研究者に大いに利用されてきたこのパネルに変わる新生リポジトリとして患者がん移植モデル(PDX)を、推進している。新しいがんモデルは、採取して間もない患者検体に由来し、詳細な臨床履歴の標識が付けられる患者がん移植モデル(PDX)などとなる。すなわち、NCI-60が樹立された当時と、がんに対する研究者の考え方は現在と大きく異なっており、何千世代と時間を経るうちに遺伝的構成や挙動が変化してきているため、薬物スクリーニングは最終的に新しい患者がん移植モデル(PDX)で行うことになる。NCIが現在作ろうとしている創薬ツールは、数百種類に及ぶ患者がん移植モデル(patient-derived xenograft;PDX)である。これは、ヒト腫瘍の小塊を、培養よりも人体により近い環境であるマウス体内に移植したものだ。このマウス体内の腫瘍は、取り出して他のマウスに再移植することができるため、任意の腫瘍を複数の個体で調べることも可能だ(図6)。NCIは、PDXに由来する細胞にそれぞれの腫瘍のゲノム塩基配列や遺伝子発現パターン、およびドナーの治療履歴に関するデータを合わせた上で、配布することにしている。NCIはまた、より詳細な生化学研究や薬物スクリーニングに使うために、PDX由来の細胞株を樹立する予定だ。また、生検が困難な腫瘍のモデル樹立に向け、血中循環腫瘍細胞(CTC)に由来する培養細胞や異種移植片も作り出そうとしている。
PDXの利用は世界的な流れであり、欧州の16の研究機関が立ち上げたコンソーシアム「EurOPDX」は、1500種類ものPDXを保有している。非営利企業のジャクソン研究所(米国メイン州バーハーバー)には450種類あり、さらに100種類を開発中である。製薬業界はその先を行っており、ノバルティス社(スイス・バーゼル)は2015年に1000種類のPDXを使った薬物スクリーニングについて報告した(54)。
PDXは、個々の患者の治療方針を決めるためのモデルとしても注目されている。つまり、PDXを持つマウスを、医師が最も有効な治療計画を決定するための基盤情報として使おうというのだ。ただし、PDXmouseモデルによるプレシジョンメディシンには約1年弱の時間がかかるため、ドナーに利益を還元するところまでいかない場合が多いのが現実である(図6)。むしろノバルティス社のように、将来の患者を助けるためにPDXの大規模コレクションを研究する方が成果が期待できると考えられている(54)。
PDXのようなモデルは、旧来の培養細胞や遺伝子操作したマウスよりも、ヒトがんの遺伝学的複雑さを詳しく捉えることができる。しかしいくつかの弱点もある。例えばPDXのほとんどは、正常な免疫応答が起こらないNOGマウスやNSGマウスなど高度免疫不全マウスで作製されている(図6)。ヒト免疫系のさまざまな面を備えたマウスを遺伝子操作で作り出す取り組みも進行中だが、ヒト免疫系の複雑さを完全に再現したマウスは今のところ存在しない(52)。

5. がんプレシジョンメディシンのための
患者がん移植ゼブラフィッシュモデル(PDXZ)によるスクリーニング

現在世界では高度免疫不全マウスによる患者がん移植モデル(PDX mouse model)が圧倒的に活用されているが、いくつかの課題があり、正常免疫であるゼブラフィッシュによる新しい患者がん移植モデル動物(PDX zebrafish model)への展開を、我々は挑戦している。すなわち高度免疫不全マウスと比較して、免疫システムが未熟な受精後36時間以内にゼブラフィッシュへの患者がん移植の圧倒的な生着率の高さや生着スピードの速いこと、移植に必要なヒトがん細胞が100個以下であり、2日間で薬効が定量解析できるなどの利点から、我々をはじめ世界で患者がん検体のゼブラフィッシュ移植モデルが確立されている(図6)。これらヒト臨床がん細胞のゼブラフィッシュ移植システム(PDX zebrafish model)は、PDX mouse modelより圧倒的に迅速な治療薬感受性試験が実現しており、抗がん剤選択のための臨床体外診断システムとして、次世代個別化医療ツールになることを明らかにしている(図6)。従来の個別化医療は、遺伝子多型や変異(ゲノム)、遺伝子発現レベル(トランスクリプトーム)、プロテオーム、メタボロームなどのオミクスを基盤とした大規模集団統計学の予測により構築されようとしてきた。一方、臨床がん検体移植ゼブラフィッシュによる個別化医療は、各患者がん検体のフェノミクス解析結果をその患者の治療薬選択にリアルタイムで活用することができ、真の次世代プレシジョンメディシンであるといえよう(55、図7)。
以上、新しい医学研究モデル動物であるゼブラフィッシュによるスクリーニングは、次世代プレシジョンメディシンや創薬などにおいて、トランスレーショナル医学研究開発ツールとしてこの21世紀に中心的役割を果たすことが、期待されている。

1) Nat.Rev.Drug Discov.10(5):328 (2011)
2)http://www.nigms.nih.gov/training/documents/systemspharmawpsorger2011.pdf
3) Nat.Rev.Drug Discov. 14:721-31 (2015)
4) Nat.Rev.Drug Discov.10:507–519 (2011)
5)Gene.446(1):18-27.(2009)
6) Nature 447:1007–1011 (2007)
7) Exp.Cell Res. 329:220–226 (2014)
8) J.Med.Chem.61:84-97(2018)
9) Nat.Chem.Biol. 5:236–243 (2009)
10) Leuk.Res. 36:570–574 (2012)
11) Circulation 123:23–30 (2011)
12) Nat. Commun. 9:758 (2018)
13) Heliyon 3:e00266(2017)
14) BMC Physiology 10:21-33 (2010)
15) Sci Rep. 4:3708 (2014)
16)Bone Rep.11:100215(2019)
17) Front.Pharmacol.6:257 (2015)
18) Toxicol Sci. 143(2):374-84 (2015)
19) Front.Pharmacol.7:57 (2016)
20) Fundam. Toxicol. Sci. 3: 79-87 (2016)
21) Congenit. Anom.(Kyoto) 56:18-27 (2016)
22) Congenit. Anom.(Kyoto) 55:1-16 (2015)
23) Front.Pharmacol. 2015. 6:199 (2015)
24)Int. J. Mol. Sci. 20, 882(2019)
25)J Nanosci Nanotechnol.15(3):2140-7.(2015)
26)Congenit. Anom (Kyoto). doi: 10.1111/cga.12335. (2019)
27) Methods in Molecular Biology, 1165:223-238 (2014)
28) Tumour Biology 35:11861-9 (2014)
29) PLoS One 9:e85439 (2014)
30) Front. Pharmacol. 7:206 (2016)
31) Front.Pharmacol.7:162 (2016)
32) Front.Pharmacol.7:142 (2016)
33) Front.Pharmacol.7:126 (2016)
34) Front.Pharmacol.7:119 (2016)
35) Transl.Res.170:89-98 (2016)
36) Stroke 45:3698-703 (2014)
37) FEBS Lett. 588(18):3409-16 (2014)
38) Nutr Metab (Lond). 12:17 (2015)
39) Nutr Metab (Lond) 9:73 (2012)
40) Nutr Metab (Lond)8:88 (2011)
41) Int. J. Obes. (Lond) 38:1053-60 (2014)
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44) ACS Chem. Neurosci. 4:1183-93 (2013)
45) BMC Neuroscience 11:116 (2010)
46) BMC Neurosci.13:101(2012)
47) PLoS ONE. 7(12): e52549 (2012)
48)ACS Chem Biol.11(2):381-8.(2016)
49)Pharmaceuticals.12:156(2019)
50) Molecular Biotechnology. 55(2):131-142 (2013)
51) Biomaterials 52:14-25 (2015)
52) Nat Med. 23:1028-1035 (2017)
53) Nature. 25;530(7591):391(2016)
54) Nat Med. 21, 1318–1325 (2015)
55) Proc Natl Acad Sci U S A. 114(39):E8234-E8243.(2017)


図1;従来のゲノム創薬プロセスとゼブラフィッシュ創薬プロセスのパラダイム比較
図2;in vivo ライブハイスループットゼブラフィッシュ創薬スクリーニング
図3;in vivo ライブハイスループットゼブラフィッシュハイコンテンツイメージング用96ウエルプレート:ZFplate
図4;in vivo ライブハイスループットゼブラフィッシュ創薬スクリーニングにおける年齢別目的別マルチウエルプレートシステム
図5;オミクス個別化医療とフェノミクス個別化医療システムの原理の比較
図6;患者がん移植モデルにおけるマウスモデル(PDXM)とゼブラフィッシュモデル(PDXZ)の比較
図7;次世代プレシジョンメディシンのための患者がん移植ゼブラフィッシュモデル(PDXZ)によるハイスループットスクリーニング



関連リンク

三重大学大学院医学系研究科システムズ薬理学

三重大学メディカルゼブラフィッシュ研究センター

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