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》新しい腫瘍血管新生制御遺伝子ZMYND8の作用機構解析

                     
2015/02/07

新しい腫瘍血管新生制御遺伝子ZMYND8の作用機構解析

○笹川翔太1)、黒柳純也1)、島田康人1,2,3,4,5)、張貝貝1)、有吉美稚子1)、梅本紀子1,2,3,4,5)、西村有平1,2,3,4,5)、田中利男1,2,3,4,5)

1)三重大学大学院医学系研究科薬理ゲノミクス、2)三重大学大学院医学系研究科システムズ薬理学、3)三重大学メディカルゼブラフィッシュ研究センター、4)三重大学新産業創成研究拠点オミックス医学研究室、5)三重大学生命科学研究支援センターバイオインフォマティクス

【目的】腫瘍血管新生は、癌細胞の増殖・浸潤・転移と密接に関連するため、腫瘍血管新生を抑制する治療法の開発は極めて重要である。これまでに血管内皮成長因子(VEGF)やその受容体を標的とする様々な薬物が開発され、臨床における有用性が示されてきた。しかし腫瘍血管新生にはVEGFやその受容体以外にも多くの分子が関与しており、これらの分子を標的とする治療薬の開発により、腫瘍血管新生をより効果的に抑制できることが期待される。そこで、小型脊椎動物モデルであるゼブラフィッシュを用いて、腫瘍血管新生における新たな治療標的分子を探索した。
【方法】血管内皮細胞に緑色蛍光蛋白質を発現させたゼブラフィッシュ(受精後2日目)に、赤色蛍光蛋白質を発現させた前立腺癌細胞DU145を移植し、その2日後にin vivo蛍光イメージングとトランスクリプトーム解析を実施した。またモルフォリノやsiRNAを用いた遺伝子ノックダウンと、癌細胞移植ゼブラフィッシュにおける腫瘍血管新生、ヒト血管内皮細胞を用いた管腔形成アッセイを用いて、遺伝子機能をin vivoとin vitroで解析した。
【結果】DU145の移植により著明な腫瘍血管新生を認めたゼブラフィッシュにおいて、Zinc finger, MYND-type containing 8 (zmynd8) の発現量が有意に増加していた。zmynd8のノックダウンにより腫瘍血管新生や内皮細胞管腔形成が抑制された。また、zmynd8はvegfaの発現を誘導した。
【考察】zmynd8はVEGFAの発現誘導を介して腫瘍血管新生に重要な役割を果たしており、腫瘍血管新生における新たな治療標的分子となることが示唆された。

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