2025/02/05
第52回日本毒性学会学術年会
2025年7月2日(水)? 4日(金)
沖縄コンベンションセンター
〒901-2224 沖縄県宜野湾市真志喜4 丁目3-1
ゼブラフィッシュによるoncocardionephrologyの展開
寺見文宏1,2、清水陽嘉1,2、森葵泉1,2、松岡さおり1,2、西野加奈子1,2、
篠木加奈1,2、里田有希1,2、○田中利男1,2
1三重大学大学院医学系研究科システムズ薬理学
2三重大学メディカルゼブラフィッシュ研究センター
がん分子標的薬などによる心毒性や腎毒性が多くの臨床症例で認められるが、それぞれの毒性機構は現時点では不明のことが多い。さらに心毒性と腎毒性の相互作用や統合的解析は困難を極めている。そこでOncocardionephrologyの必要性が、国際的にも提唱されている。しかしながら、これらのがん治療薬効作用と心腎毒性機構を、同一個体同時定量解析する研究モデルは、グローバルにも不足しているのが現状である。歴史的にはまずマウス/ラットなどの正常哺乳類モデルによる少数かつ短期間の心腎毒性解析が、主に病理学的になされてきた。さらにヒト細胞(オルガノイド、iPS細胞、ES細胞など)モデルに大きな期待がありました。一方、ゼブラフィッシュ(Danio rerio)による腫瘍循環器腎臓病学(oncocardionephrology)は、モデル生物としてのゼブラフィッシュのユニークな利点であるハイスループットin vivoスクリーニングを活かし、がん治療が心腎機能に及ぼす毒性機構など、最近国際的にも急速に発展している。そこで、ゼブラフィッシュによるOncocardionephrologyにおけるハイスループットケミカル/トランスオミクスin vivo スクリーニングを可能にするため心臓と尿細管に蛍光タンパク質を導入した透明ゼブラフィッシュMieKomachi103 (cmlc2:mRFP/enpep:GFP /nacre)を、創生した。さらに独自に開発した非侵襲的投与が可能な全血漿タンパク結合色素ZMB741(Chemical & Biomedical Imaging. 2024 May 31;2(11):755-764.)により、ライブ定量的個別蛋白尿解析法を確立した。この新しいゼブラフィッシュoncocardionephrologyモデルによる最新の研究展開について、ご報告いたします。