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紅麹菌は、古くから中国で使用されてきた伝統的な発酵菌であり、近年では健康食品や医薬品として注目されています。しかし、最近、紅麹菌を含むサプリメントを摂取した人々の一部で、急性腎障害 (AKI) を発症する深刻な健康被害が報告されています。
紅麹菌による腎障害の原因物質は完全には解明されていませんが、以下の2つの物質が有力な候補として挙げられています。
モナスコリンK: コレステロール低下作用を持つ化合物ですが、腎毒性も有することが動物実験で示されています。
シトリニン: 腎毒性や神経毒性が知られるカビ毒であり、紅麹菌の一部株から産生されることが報告されています。
2. 病態特徴
紅麹菌による腎障害は、急性腎障害 (AKI) として発症します。expand_moreAKIは、腎機能が短期間に急激に低下する疾患であり、重症化すると生命に関わることもあります。
3. 蛋白尿メカニズム
紅麹菌による腎障害では、糸球体基底膜の透過性亢進が原因で蛋白尿が出現します。糸球体基底膜は、血液中のタンパク質をろ過する役割を持つ重要な構造体であり、その透過性が高まると、本来はろ過されないはずのタンパク質が尿中に漏れ出てしまいます。
紅麹菌による蛋白尿の具体的なメカニズムは以下の通りです。
糸球体細胞機能障害: 糸球体細胞が損傷を受けると、糸球体基底膜の維持・修復機能が低下し、透過性が高まります。
炎症反応: 糸球体や腎小管に炎症性変化が起こると、糸球体基底膜の構造が破壊され、透過性が高まります。
我々は、最近ゼブラフィッシュ蛋白尿を、高感度高精度に定量するシステムを開発しました。
そこで、これからは紅麹菌などサプリメントの腎毒性を事前に検討することが可能になりました。