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ポドサイトパチー創薬スクリーニング
現在グローバルにも不足しているin vivo フェノタイプスクリーニングに使用できる新規蛍光色素を開発するために、96ウエルZFplateで、透明化したゼブラフィッシュ(MieKomachi001)を飼育し、飼育水に約600種類の蛍光色素ライブラリーから各1種類の蛍光色素最終濃度5μMを添加して、24時間後にイメージスクリーニングした。その結果、いくつかの蛍光色素により、選択的に血管を可視化することが明らかとなり、その中でも蛍光強度が最大のものがZMB741であった。その後ZMB741は、非侵襲的投与により血管壁ではなく多数の血漿蛋白質に結合していることが、明らかとなり、大規模なin vivo フェノタイプスクリーニングが実現している。例えば、apolipoprotein A-I(Kd=0.84μM)やhemopexin(Kd=3.13μM)など親和性は少し異なるもののほとんどの血漿蛋白質に結合することが、in vivo蛋白尿定量解析などにおける大きな有用性の基盤となっている。さらに、既存のトレーサーである蛍光デキストラン、EB、ICGなどは、ゼブラフィッシュにおいても心血管注射など侵襲的投与しかできない。また、水溶液中のフリーのZMB741は、ほとんど蛍光が認められないが、血漿蛋白質に結合すると蛍光量子収率が高度に向上することにより、既存トレーサーより高感度な血漿蛋白質動態解析が可能となり、医学上重要な血液脳関門(BBB)破綻(ACS Chem. Neurosci. 2013, 4, 1183?1193)やポドサイトパチー蛋白尿のin vivoイメージングなどに、適応することになりました。
ポドサイト(糸球体上皮細胞)のスリット膜構成蛋白の一つであるネフリンが1998年に発見されて以来,ポドサイトに関する知見は飛躍的に増え,ポドサイト傷害が不可逆的糸球体硬化症,さらには,慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)を引き起こすことが明確になった.ポドサイト傷害が病態の中心である腎臓病は一括してポドサイトパチー(podocytopathy)として捉えられ,典型的には一次性ネフ ローゼ症候群の疾患が含まれる。これらの疾患の治療に使用されているグルココルチコイドや免疫抑制薬には,免疫学的作用以外にも直接的ポドサイト保護効果を有する可能性が報告されている.しかし,現状では,ポドサ イトを強力に保護し,CKDの進行を抑制することが確立されている治療薬はグローバルにも存在しない。ポドサイトパチー発症・進行機序が解明され,特異的な治療や予防法が開発されることが期待される.そこで、ネフリン遺伝子などのKOやKDによりゼブラフィッシュポドサイトパチーモデルを創生し、ZMB741によるin vivo蛋白尿個別定量システムを構築した。このin vivoフェノタイプスクリーニングにより既存薬リポジショニングスクリーニングの結果、少なくとも2種類の作用機序の異なる治療薬候補がヒットした。現在これらの新規治療薬候補のポドサイトパチー治療機構を解析し、最終的には臨床応用を目指している。
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