Publication List Japanese

2017/07/01
化学工業 Vol.68No.7 ゼブラフィッシュ創薬とInternet of Zebrafish(IoZ)

2017/05/22
月刊ファームステージ Vol.17 No.2 ゼブラフィッシュ創薬とフェノミクス薬理学

2017/03/31
NEW薬理学 改訂第7版 プロテオーム創薬

2016/10/19
三重大学春秋会会報 第39号 ゼブラフィッシュ創薬への道程 

2016/10/07
理系マイナビ special interview

》ゼブラフィッシュを用いたBBB機能イメージング

                     
2014/06/14

第9回トランスポーター研究会年会シンポジウムII

ゼブラフィッシュを用いたBBB機能イメージング

西村有平1,2,3,4,5、梅本紀子1,2,3,4,5、田中利男1,2,3,4,5

1三重大学大学院医学系研究科 薬理ゲノミクス
2三重大学メディカルゼブラフィッシュ研究センター
3三重大学 システムズ薬理学プロジェクト研究室
4三重大学新産業創成研究拠点 オミックス医学研究室
5三重大学生命科学研究支援センター バイオインフォマティクス

近年の科学技術の発達により、アルツハイマー病や脳腫瘍など、様々な中枢神経系疾患の分子機構が明らかにされつつある。これらの疾患関連分子に対して選択的に作用する薬物は、薬効が高く、副作用の少ない医薬品になることが期待される。しかし、中枢神経系疾患に対する薬物は血液脳関門(BBB)を通過して、中枢での有効濃度に到達しなければその効果を発揮できない。BBBを構成する血管内皮細胞には、多様なトランスポーターが存在する。多くの薬物はこれらのトランスポーターに認識され、血管内皮細胞から血液中に排出されてしまうため、ほとんど脳へ移行しない。この問題を解決するためには、トランスポーターに認識されにくい化合物や、安全かつ有効性の高いトランスポーター阻害薬の開発などが必要である。
 ゼブラフィッシュは水棲生物であり、化合物を飼育水中に添加することにより曝露が成立するため、化合物スクリーニングに適したモデル動物として世界的に注目されている。また、ゼブラフィッシュは脊椎動物であり、BBBも含めて多くの組織がヒトと類似している。さらに、透明なゼブラフィッシュと蛍光色素を組み合わせることにより、ゼブラフィッシュ体内に吸収された蛍光色素の動態を、蛍光顕微鏡を用いたライブイメージングにより解析することが可能である。我々は、透明ゼブラフィッシュを用いて、様々な蛍光色素の体内動態を解析してきた。BBBを透過して中枢へ移行する蛍光色素と、BBBを透過しない蛍光色素の中で、メチル基の長さが1個だけ異なる色素ZMJ018とZMB034に注目した。ZMJ018とZMB034はともに血漿中に存在し、脳血管を可視化できるが、ZMB034はBBBを透過し脳内へ移行するため、脳実質も可視化できる。一方、ZMJ018はBBBを透過できないため、脳血管のみが可視化される。しかし、ABCトランスポーターのひとつであるmultidrug resistance proteins の阻害薬MK571を共投与すると、ZMJ018はBBBを透過し、脳実質を可視化できた。このように、ゼブラフィッシュと蛍光色素を組み合わせたライブイメージングにより、BBBトランスポーターの基質認識に影響する化学構造を解析することが可能である。また、BBBトランスポーターの基質となり、中枢移行性の低い蛍光色素を用いたゼブラフィッシュのライブイメージングにより、中枢神経系疾患治療薬を探索することも可能である。例えば、ZMJ018と様々な化合物をゼブラフィッシュに共投与した後にライブイメージングを行い、ZMJ018により脳実質が可視化されたゼブラフィッシュを同定する。このゼブラフィッシュに投与した化合物は、multidrug resistance proteins の阻害薬となる可能性がある。逆に、BBB障害を伴う疾患モデルゼブラフィッシュにおいて、脳実質への蛍光色素の漏出を低下させるような化合物は脳血管障害保護薬となる可能性がある。このように、ゼブラフィッシュと蛍光色素を組み合わせたBBB機能イメージングは、様々な可能性を秘めた有用な研究手法であると考えられる。

関連リンク

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