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》メチロームとトランスクリプトームの統合解析による化学物質の有害性評価

                     
2012/12/12

第35回日本分子生物学会年会(2012年12月12日、福岡国際会議場)にて下記の演題を発表する予定です。

メチロームとトランスクリプトームの統合解析による化学物質の有害性評価

村上宗一郎1、西村有平1,2,3,4、荻原智明1、張孜1、梅本紀子1、張貝貝1、黒柳淳哉1、島田康人1,2,3,4、田中利男1,2,3,4

1三重大学大学院医学系研究科 薬理ゲノミクス
2三重大学メディカルゼブラフィッシュ研究センター
3三重大学新産業創成研究拠点 オミックス医学研究室
4三重大学生命科学研究支援センター バイオインフォマティクス

現在、世界中で10万種類を超える化学物質が製造され、人間の快適な生活の実現に大きく貢献している。しかし、環境中に存在する化学物質の曝露により、疾患が誘導される可能性も指摘されている。近年、化学物質の有害性を高速・高感度に評価するシステムとして、トランスクリプトーム解析が世界中の様々な機関において実施され、化学物質の新しい有害性評価手法として定着しつつある。しかし、トランスクリプトーム解析は化学物質曝露に対する生体内の遺伝子発現応答のスナップショットを評価しており、その遺伝子発現変化をもたらす原因や、化学物質の曝露が生態系に与える長期的な作用などを直接解明することは容易ではない。近年、化学物質の曝露により生体内の遺伝子発現が変化する機構として、エピゲノムの変化が大きな注目を集めている。例えば、妊娠中の母親が化学物質に曝露されることにより、胎児のエピゲノムの変化が生じ、成人後の疾患の発症に関与したり、子孫にまでそのエピゲノムの変化が伝達される例が数多く報告されている。したがって、エピゲノムの変化に焦点を当てた高速・高感度な評価系を構築し、トランスクリプトーム解析との統合的評価系を開発することは、化学物質の有害性評価において重要な意義を有している。本研究では、ゼブラフィッシュの受精卵に化学物質を曝露した後、DNAマイクロアレイを用いたトランスクリプトーム解析と、次世代シークエンサーを用いたメチローム解析を行い、化学物質曝露により変化するDNAメチル化領域と、そのメチル化により発現制御される遺伝子を網羅的に解析し、各化学物質に特異的な変化を同定することに成功した。