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2021/06/29
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》創薬スクリーニングのためのALSモデル動物の創成

                     
2012/06/29

2012年6月29日に徳島市で開催された第121回日本薬理学会近畿部会にて下記の演題を発表しました。

創薬スクリーニングのためのALSモデル動物の創成

〇中村祐基1)、西村有平1,2,3,4)、今鉄男1)、山中裕貴子1)、梅本紀子1)、張孜1)、張貝貝1)、黒柳淳哉1)、島田康人1,2,3,4)、田中利男1,2,3,4)

1)三重大学大学院医学系研究科薬理ゲノミクス、2)三重大学メディカルゼブラフィッシュ研究センター、3)三重大学新産業創成拠点オミックス医学、4)三重大学生命科学研究支援センターバイオインフォマティクス

筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis, ALS)は進行性の運動神経細胞死を特徴とする神経変性疾患である。90%は孤発性であるが、10%は家族性発症を示し、その原因遺伝子が同定されてきた。これらの家族性ALS原因遺伝子を導入したモデル動物を創成することは、ALSの病態解明だけでなく、ALS治療薬の開発に極めて重要である。近年、家族性ALS原因遺伝子を過剰発現させたゼブラフィッシュにおいて、ALSと同様の運動神経障害を認めた研究成果が相次いで報告されている。ゼブラフィッシュは創薬スクリーニングに適しており、昨年米国では臨床開発の成功例が出現している。そこで我々はゼブラフィッシュALSモデルの創成を試みた。本研究では、ALS8として同定されたALS原因遺伝子のひとつであるVAPB-P56Sに焦点を当て、ゼブラフィッシュALSモデルを構築した。ゼブラフィッシュのVAPB相同遺伝子のノックダウンや、ヒトVAPB-P56Sの過剰発現を単独で行ったゼブラフィッシュの運動神経には有意な形態変化は認められなかったが、これらを同時に行ったゼブラフィッシュの運動神経では、運動神経軸索の短縮や走行異常など、他のALS原因遺伝子を導入したゼブラフィッシュの報告例と同様の形態変化が認められた。このゼブラフィッシュモデルは、VAPB-P56SによるALSの分子機構解析や治療法の開発に有用であると考えられる。