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新しいハイスループット個別蛋白尿治療薬スクリーニングシステムの構築と応用

                     

2023/11/06


新しいハイスループット個別蛋白尿治療薬スクリーニングシステムの構築と応用

野本毅1,2、森葵泉1,2、松岡さおり1,2、櫛田友紀1,2、山田佳代子1,2、寺見文宏1,2、清水陽嘉1,2、○田中利男1,2
1三重大学大学院医学系研究科システムズ薬理学
2三重大学メディカルゼブラフィッシュ研究センター

蛋白尿が主な症候の腎疾患は、糖尿病性腎症、慢性糸球体腎炎、腎硬化症、ネフローゼ症候群などがあり、これらはすべていまだに有効な治療薬がないため、すべて透析患者として末期腎不全を迎える。その結果、我が国の透析患者数は約35 万人であり、医療費は年間1 兆6000 億円となり医療経済学的にも大きな負担となっている。一方蛋白尿の病態機構としてようやく最近ポドサイトパシーが注目されているが、現時点ではほとんど有効な治療薬が存在せず、蛋白尿治療学は抗悪性腫瘍薬よりもむしろ悲惨な現状である。そこで、現在までの長年にわたる国際的にも無力なリバース薬理学ではなく、現在グローバルにも注目されているin vivoフォワード薬理学戦略に、大きく舵を切ることとなった。
21 世紀ゲノム創薬時代へ突入してからも、現在なお治療が困難な蛋白尿腎疾患に対する画期的治療薬(First-in-Class)開発 は、依然として難渋を極めており、新規治療薬開発の失敗原因の多くが不十分な薬効であることから、従来のゲノム創薬にお けるリバース薬理学がその役割を果たしきれていないことを、特に問題視されるようになった。一方、米国FDA に認可された新薬を解析すると、興味深いことに62%の画期的新薬は、in vivo フェノタイプスクリーニングにより見出され確立していることが明らかとなった。そこで、2013年(ACS Chem Neurosci.4:1183-93)に独自開発し、グローバルにも圧倒的な優越性を持つゼブラフィッシュ個別in vivo 蛋白尿定量用新規蛍光色素ZMB741 により、長年において独自に開発してきたゼブラフィッシュハイスループットin vivo 蛋白尿治療薬スクリーニングシステムを構築し、遺伝子改変や化合物誘発による種々の蛋白尿病態モデルにおける画期的治療薬を探索する。
この新規蛋白尿治療薬in vivoフォワード薬理学戦略を実現するためには、ハイスループット個別蛋白尿治療薬スクリーニングシステムを確立することが不可欠である。すなわち、in vivoフォワード薬理学戦略は、ある規模におけるランダムスクリーニングに対応する96ウエルプレイトハイスループットが必須であり、遺伝子改変や化合物誘発による蛋白尿病態モデルにおける個体差を最小限にし、蛋白尿定量スクリーニング精度を最適化するために、個体別の蛋白尿定量精度を最大化する必要がある。

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三重大学大学院医学系研究科システムズ薬理学

三重大学メディカルゼブラフィッシュ研究センター

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